【番外編追加】ロマンスに、キス



「…俺は、お前とそういうことしたいよ」



真上から落ちてきた佐野の声は、いつになく低くて、熱を含んでいて、胸の奥をぎゅっと掴んでくる。



「お前が、いいよって言ってくれんなら、初めてだろーが絶対途中でやめてやんないし、優しくする気だって1ミリもない。ノンストップで、朝まで抱く」



……いや、それはどうかと思うよ、佐野。



「なあ、それでもいい?」



問いかけは優しさを含んでいるのに、その瞳は、逃げ道を奪うみたいにまっすぐで。


文句のひとつでも言ってやろうと、一瞬は思った。


でも――


佐野が見つめるその目が、まるであたしを、ひどく、どうしようもなく、欲しているように見えてしまって。


その視線に一晩中捕まって、愛されるなら。


……それも悪くないって、思ってしまった。



怖さがないわけじゃない。

知らないことばかりだし、急に心臓が震えるくらい不安にもなる。


でも、それよりも何百倍も強く――

佐野に愛されてみたいと思ってしまう。


< 209 / 224 >

この作品をシェア

pagetop