【番外編追加】ロマンスに、キス
きゅっと唇を結んで、やっと絞り出すように言った。
「………い、いよ」
それしか言えなかった。
ほんとは、あたしもシたいとか、ずっとそう思ってたとか、甘ったるいことを一つくらい言えればいいのに。
でもできない。
できないままのあたしでも、
佐野には——
愛してほしいし、好きでいてほしい。
そんな気持ちを抱えたまま、佐野の顔が少しずつ近づいてきて、思わずぎゅっと目をつむった。
「…一千華、好きだよ」
滅多に言わないくせに。
そういうときだけ、ひどく甘い声で。
耳元でそんな声を出すな、と思う。
触れられてるわけでもないのに、肌がじわっと熱を帯びて、もう自分じゃないみたいな声が、喉の奥で震えた。
やだ、聞かれたくない。
恥ずかしい。
佐野の唇が、あたしの唇から耳、顎、首筋まで降りてきて、自分じゃないみたいな声が出る。そのあたしの声も心底甘ったるくて、恥ずかしいし、やっぱりここでやめてしまいたい。