ロマンスに、キス



「…佐野」



呼ぶと、閉じたまぶたがぴくっと動く。



「何」



寝る気満々の声。



「あたしに、こんなことさせるなんて、ただじゃおかないんだからね」

「はいはい」



気のない返事。腹立つ。



「お金払って欲しいくらいだからね」

「分かったから、静かにしろよ、お前」



ムカつく。眠くないって言ってたくせに。



「バカ佐野!」



恥ずかしさが限界で、思わず声を荒げてしまった。

すると佐野は、パチッと目を開けて――ガバッと起き上がった。



「お前、ほんとうるせー!」

「うるさい!?誰のせいだと思ってんの?」

「もう、しねーよ!」



佐野はジロッと軽くあたしを睨んで、隣であぐらをかいて腕を組む。ムッとするあたしをよそに、目を閉じてしまった。

バカ。嫌い!

さっきまで佐野のぬくもりで暖かかった太ももに風が通って、少しだけ冷たく感じてしまう。勝手に膝に頭おいてきて、眠いって言ったくせに。今度は怒って、寝ちゃったし。


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