言い出せないまま(She Don't Know Me)
「大学生?」
「ううん、社会人」
「社会人と何処で知り合うのよ?ナンパされたとか?」
「ナンパで彼氏作るとか、ないない!メル友なの。まだ会ってはいないんだけど」
 要するに、それも一種のナンパなのでは⋯⋯?と、内心突っ込む。
「なんか、危ない感じだね。成人した社会人なのに女子高生をターゲットにするって、大丈夫なの?」
「だ、大丈夫だって!それより、ミヨちゃんこそどうなの?中学時代、片っ端から振ってたけど」
 ついに、こちらに矛先が向いた。
「うん⋯⋯」
「ハッキリしないねぇ。そうだ!今年の夏休みまでに、絶対に彼氏作ろうよ!期限を決めたら、お尻にも火がつくでしょ?」
 試験勉強じゃあるまいし、こういうことで、お尻に火をつけていいものかと思うが。
 だけど⋯⋯。
「そうね。じゃあ、お互い頑張ろっか」
「いえーい!」

 19時には店を追い出され、現地解散。
 ノロノロと家路を辿った。
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