季節は巡り、隣のあなたはいつでも美しい
 飯の後は藤乃と大浴場に向かう。

 澪も花音と女湯に入っていった。


「広い風呂、気持ちいー」

「家だと足伸ばせねえからなあ」


 二人で並んで湯に沈む。

 家の風呂もそれなりに広く造ってあるけど、やっぱりこういうところは違う。

 足が伸ばせるし、腕もぶつからないし、運転疲れもあって沈みそうだ。

 藤乃のやつ、目にタオル乗ってるけど起きてんのか……?


「明日ってイチゴ狩り以外に用事あったっけ?」

「ない。せっかくだから餃子食べたいって花音ちゃんが言ってた」

「ああ、いいな。親父たちにも土産買わねえと」

「そうだった。母さんから湯葉頼まれてたの忘れてた」

「俺も買ってくか。あとなんかつまみになりそうなの」

「つまみなんか買って帰ったら、うちの親父が由紀さん家から帰らなくなる」

「……マジでありそうだな、あの二人」

「まあ、母さんが帰るって言えば帰るよ」

「たしかに」


 目もろくに開けずに、だらだら湯船に浸かる。

 でもそろそろ上がらないとのぼせそうだし、あんまり遅いと花音に怒られる。


「私の藤乃さん返してよ!」


 あたりはマジで言われそう。

 澪に心配かけてもあれだし。


「出るか……」

「んー……」


 同じように半分寝てる藤乃を起こして風呂を出る。

 大浴場の外にある休憩所に行くと、澪と花音が並んで牛乳を飲んでいた。


「藤乃さんもどうぞ。ちょっと温くなっちゃったかもですけど」

「ありがと」

「瑞希さん、イチゴミルクでよかったですか?」

「うん」


 差し出された瓶を受け取る。

 冷たくて美味い。


「藤乃の、なんか黄色いな」

「レモンミルクだって」


 三分の一くらい残った瓶を渡されて飲むと、さっぱりしててうまい。


「売店に置いてありましたよ」

「帰りに買っていこう。そろそろ部屋に戻ろうぜ。湯冷めする」

「じゃあ、お兄ちゃんと澪さんはまた明日!」

「おー」

「おやすみなさい」


 澪と部屋に戻ると布団が敷かれていた。

 荷物を片付けていると澪が寄ってくる。


「瑞希さん、もう休まれますか? それともお酒飲みます?」

「酒?」

「冷蔵庫に入ってました。地酒が一本サービスだそうで。おつまみもあります」

「……気になるけど、それは持って帰って親父の土産にしよう」


 荷物を端に寄せて、澪を抱き寄せる。


「あ、あの、歯磨きをですね」

「うん、あとは?」

「えっと、それだけです……」

「さっさと済ませるぞ。明日もあるし、あんまり夜更かししたくねえだろ?」

「……急いで磨いてきます」

「俺も磨く」


 ついでにパーキングで買ったのど飴もテーブルに出しておく。

 声が枯れない程度で止めてやれるかわかんねえし。



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