季節は巡り、隣のあなたはいつでも美しい
 結論を言えば、なかなか大変だった。

 藤乃と花音のところの第二子、第三子と同級生の娘が産まれるまで、二年ほどかかった(あいつらのところは双子だった)。

 それでも頑張って良かったと思えたから、まあ、結果オーライ。つっても本当の意味での結果なんて、いつわかるのかすら、わからないけど。


「みじゅき、だっこだっこ」

「藤也は兄ちゃんになっても甘えん坊だな」

「かあしゃんが、だっこできないから」

「親父にしてもらえよ」

「してもらってるけど、みじゅきはべつばら」

「そうかよ」


 藤乃の長男の藤也を抱っこして、新生児室を見ていた。


「どれがいもおと?」

「一番左とその隣」

「そっちは?」

「藤也の従妹」

「ふうん。それもうちにつれてかえるの?」

「いや、その子は俺が連れて帰る」

「みおちゃんと?」

「そう」

「ふうん」


 並んだ三人の赤ん坊は全員女児で、左二人は花音そっくりで、一番右は澪に似ていた。

 それを俺は、藤乃そっくりの子供を抱っこして眺めている。


「変な感じだなあ」

「そう?」

「うん。お前が産まれたときも、よくわかんなかったけど、やっぱりわかんねえな」

「ふうん。みじゅき、ジュースかって」

「買わない。花音に怒られる」

「ひみつにすればいいよ」

「この間もそう言って、自分でバラして怒られただろうが。そろそろ行こうぜ。お前の親父とじいさん、泣き止んでるといいな」

「んふふ、とうしゃんとじいちゃん、すぐなく」

「ほんとだよ」


 藤也を下ろして手をつないだ。

 小さな命だった藤也は、俺の手をしっかり握って歩き出した。
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