季節は巡り、隣のあなたはいつでも美しい
 澪は予想の十倍くらい、働き者だった。

 朝は俺より早く起きて洗濯や飯の用意をするし、繊維の扱いを教えたら、あっという間に自分で衣服を用意するようになった。

 小屋も澪に手伝わせて少し広くできたし、ゴザや布団も、丈夫なものに作り直せた。


「……お前、思ったよりも便利だな」

「そう言っていただけると嬉しいです」


 澪はすっかり綺麗になった顔で微笑んだ。

 畑の手入れもずいぶん慣れた。

 水を引いたり、届かないところは桶やひしゃくで撒いていく。

 土地の養分を吸い過ぎないように間隔を開けるのも、植物同士の相性も、何度か説明したら、言われずともよしなにやるようになった。

 冬に向けた保存食もいつの間にか大量にこさえていたから、澪と過ごす冬は快適だったし、畑から戻ると小屋の中が温かいのもよかった。


「ミズキさんは、お魚は召し上がらないのですか?」


 何度目かの春先、菜花を俺に出しながら澪が言った。


「俺は花鬼だから、血が通ったもんを食うと腹を壊すんだ」

「そうですか……うまく焼けたのでお召し上がりいただきたかったのですが」

「俺はいいから、お前が食え。精をつけねえといけないんだろ」

「……はい」


 澪は大きくなった腹を、笑顔でさすっていた。

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