『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―
シルヴィアは胸が高鳴った。
屋外に長時間いられない自分でも、
アトリエなら働ける。
芸術の世界に触れられる。
そして何より、
リディアが向けてくれた
真っ直ぐなまなざしが嬉しかった。

その日の夕方。
帰宅したシルヴィアは、
リディアに誘われたことを
エルヴィンに打ち明ける。

エルヴィンは一瞬驚いた顔をしたが、
すぐに優しく微笑み、
両手でシルヴィアの肩を包んだ。

「行ってみたらいい。
 君が“やりたい”と心が動いたなら、それだけでもう十分だ」

「でも……私、役に立てるかわからなくて」

「俺だって服飾学院に入る時そうだったよ。
 でも今は、あの選択が“人生の始まり”だったと思ってる。
 ――シルヴィア。君にも、きっと新しい扉が開くよ」

その言葉に、
シルヴィアの胸は温かく満たされる。

「……うん、やってみたい。
 リディアさんの絵、すごく素敵だったの」

「君が選んだ道なら、俺は全力で応援する」

エルヴィンは迷いなく言い切った。
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