元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
会社へ戻ると、例によって部長が待ち構えていた。
「どうだ、東都食品?」
「プレゼンの手応えはありました。まず、大丈夫だと思います。」
和那が報告すると
「そうか。」
部長は満足そうに頷く。
「最近、二人を見てると安心だな。」
「えっ?」
「前は南澤くんが全部引っ張ってたけど、今は朝比奈がちゃんと相棒として横にいる。そんな感じがする。」
湊は思わず部長を見る、そんなふうに見られていたとは思わなかった。
「いいコンビになったじゃないか。」
部長は笑顔でそう言い残し、ふたりから離れて行く。
そのやり取りを聞いていた社員が、小さな声で呟いた。
「確かに・・・最近、朝比奈さん変わりましたよね。」
「ああ。とにかく一番変わったのは、自信がついたことじゃないかな?」
別の社員が頷く、周りの率直な感想だった。
湊は静かに自席へ戻った。パソコンの電源を入れながら、ふと顔を上げる。少し離れた席では、和那がいつものように部下へ指示を出している。
誰に対しても変わらない。公平で、冷静で、頼れる上司。だからこそ、さっきのあの言葉は、本心だったのだろう。
『朝比奈が先回りして動いてくれるので、私も安心してお話しできるんです。』
その一言が、何度も胸の中で繰り返される。
(安心、か・・・。)
以前の自分なら、そんな言葉を彼女から掛けてもらえるなんて、想像もしなかった。
ふと、和那がこちらを向く。
目が合う、和那は軽く微笑み、すぐにデスクに視線を落とした。
それだけだった、それだけなのに・・・。
(だから、もうまずいんだって、それ・・・。)
湊の心は、またしても乱れていた。
「どうだ、東都食品?」
「プレゼンの手応えはありました。まず、大丈夫だと思います。」
和那が報告すると
「そうか。」
部長は満足そうに頷く。
「最近、二人を見てると安心だな。」
「えっ?」
「前は南澤くんが全部引っ張ってたけど、今は朝比奈がちゃんと相棒として横にいる。そんな感じがする。」
湊は思わず部長を見る、そんなふうに見られていたとは思わなかった。
「いいコンビになったじゃないか。」
部長は笑顔でそう言い残し、ふたりから離れて行く。
そのやり取りを聞いていた社員が、小さな声で呟いた。
「確かに・・・最近、朝比奈さん変わりましたよね。」
「ああ。とにかく一番変わったのは、自信がついたことじゃないかな?」
別の社員が頷く、周りの率直な感想だった。
湊は静かに自席へ戻った。パソコンの電源を入れながら、ふと顔を上げる。少し離れた席では、和那がいつものように部下へ指示を出している。
誰に対しても変わらない。公平で、冷静で、頼れる上司。だからこそ、さっきのあの言葉は、本心だったのだろう。
『朝比奈が先回りして動いてくれるので、私も安心してお話しできるんです。』
その一言が、何度も胸の中で繰り返される。
(安心、か・・・。)
以前の自分なら、そんな言葉を彼女から掛けてもらえるなんて、想像もしなかった。
ふと、和那がこちらを向く。
目が合う、和那は軽く微笑み、すぐにデスクに視線を落とした。
それだけだった、それだけなのに・・・。
(だから、もうまずいんだって、それ・・・。)
湊の心は、またしても乱れていた。