元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
結果が届いたのは、2日後のことだった。


営業部には、いつものように慌ただしい朝が流れていたが


「和那さん!」


営業事務の女性社員が声を上げた。


「東都食品さんからです!」


その一言で、営業部の空気が少しだけ変わる。和那が席を立ち、メールを確認する。


数秒後、ふっと表情が和らいだ。


「決まった・・・。」


その一言だけだった。すかさず、オフィスに拍手が沸き起こる。


「おめでとうございます!」


「さすがです!」


「ありがとう。」


祝福の言葉に、笑顔で応えた和那は


「でも。」


そう言って、湊の方を見る。


「今回は、私だけじゃないから。」


その言葉に、社員たちの視線が、一斉に湊へ向き、和那も彼に歩み寄る。


「朝比奈さん。」


「はい。」


「一緒に取った案件だよ。」


「南澤さん・・・。」


「おめでとう、そして・・・ありがとう。」


和那が真っすぐに湊を見て言うと、一瞬、息を呑んだ後


「とんでもありません。俺の方こそ・・・ありがとうございました。」


頭を下げた。答えた声は少し震えていた。


拍手がもう一度起こる。


部長も満足そうに腕を組んだ。


「だから言っただろ。いいコンビだって。」


「じゃ、次もこのコンビで決まりですね。」


誰かが茶化すように言い、オフィスに笑いが広がる。


和那も笑っている、湊も笑っている。でも・・・その笑顔の意味は、二人だけが少し違っていた。
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