元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
⑩約束の続き
東都食品の案件が正式に動き始めてから数日。
この件はいったん湊の手に委ねられていた。もちろん和那の手が全面的に離れたわけではないが、チ-ムのリーダ-という彼女の立場上、東都食品案件だけに専念出来る状況ではなかったからだ。
向こうの担当者とのやり取りを終え、受話器を置いた湊は、思わず和那のデスクに視線を送った。
少し離れた席、彼女はいつものように電話をし、資料を確認し、部下へ指示を出している。その姿は何一つ変わらない。変わったのは、自分の方だった。
(話せねぇな・・・。)
ほんの数日前までは、毎日のように打ち合わせをしていた。会議室で資料を広げ、帰り際に話をして、昼休みには一緒に昼食を摂り・・・そんな時間が、当たり前になっていた。
でも今は違う。和那の立場からすれば、これが当たり前の状況であり、だとすれば、席は近くても話す機会は減る。
(こんなもんだよな。)
内心ため息をつきながら、パソコンへ向き直って、少し経った時だった。
「朝比奈さん。」
顔を上げる、和那だ。
「はい。」
「ちょっといい?」
それだけで、胸が少しだけ踊ってしまう。
「もちろんです。」
二人は小さな打ち合わせスペースへ移動した。
この件はいったん湊の手に委ねられていた。もちろん和那の手が全面的に離れたわけではないが、チ-ムのリーダ-という彼女の立場上、東都食品案件だけに専念出来る状況ではなかったからだ。
向こうの担当者とのやり取りを終え、受話器を置いた湊は、思わず和那のデスクに視線を送った。
少し離れた席、彼女はいつものように電話をし、資料を確認し、部下へ指示を出している。その姿は何一つ変わらない。変わったのは、自分の方だった。
(話せねぇな・・・。)
ほんの数日前までは、毎日のように打ち合わせをしていた。会議室で資料を広げ、帰り際に話をして、昼休みには一緒に昼食を摂り・・・そんな時間が、当たり前になっていた。
でも今は違う。和那の立場からすれば、これが当たり前の状況であり、だとすれば、席は近くても話す機会は減る。
(こんなもんだよな。)
内心ため息をつきながら、パソコンへ向き直って、少し経った時だった。
「朝比奈さん。」
顔を上げる、和那だ。
「はい。」
「ちょっといい?」
それだけで、胸が少しだけ踊ってしまう。
「もちろんです。」
二人は小さな打ち合わせスペースへ移動した。