元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
「でも・・・。」


すぐに湊が表情を改める。


「一つだけは分かってます。」


和那は、黙って続きを待った。


「昨日。」


「うん。」


「仕事抜きで話したいって言いましたよね。」


「うん。」


「あれ。」


湊は真っ直ぐ和那を見つめる。


「本気です。」


和那の胸が、キュンと跳ねる。でも、その表情は変わらない。


「そう。」


ただ、それだけを静かに返した。


「音楽の話でも、好きな食べ物の話でも、何でもいい。」


湊は続ける。


「とにかく、もっと南澤さんのことを知りたいって思ったんです。」


そんな湊を、和那は何も言わずにじっと見つめている。彼の言葉を一つひとつ受け止めようとしてるかのように。


「それで、まずは・・・前に屋上で聞いたこと、覚えてますか。」


「えっ?」


「『どうして、そこまで俺を信じられたんですか。』って。」


「・・・。」


「俺、あの答えの続きを聞きたいんです。」


静かな夜だった、街の喧騒だけが遠くに聞こえている。真剣な表情で自分を見つめる湊から、和那は少しだけ目を逸らした。そして、小さく息をつくと


「覚えてたか。」


とやや苦笑気味に答える。


「当たり前です。」


「朝比奈さん。」


「はい。」


「あの時の続きを話せというなら。」


ここで、和那はゆっくりと湊を見た。


「ここじゃ無理。」


「えっ?」
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