元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
「あそこ・・・。」


「駅前の再開発で、場所がちょっと動いただけですから。ああやって、人もたかってて、相変わらずですよね。」


平然という湊に


「そ、そうだね。それより、さぁ行くよ。」


現実がわかって、急に恥ずかしさが込み上げて来た和那が、慌てて動き出そうとするから


「ちょっと待って下さいよ、南澤さん。」


湊が言うと


「そうだ、今のうちに言っとく。今日は敬語はなしだからね。」


「えっ?」


「確かに会社では上司と部下だけど、私たち、齢は同じでしょ?こんな時まで敬語じゃ、気が休まらないよ。」


和那はそんなことを言い出す。


「でも・・・。」


「いいから。これ、上司命令。」


「って、それ、思いっきり、会社引きづってるじゃないですか?」


湊が呆れた声を出すが


「うるさい、行くよ。」


照れ隠しもあって、プイッと振り返って歩き出す和那。


「わかりました。いや、わかった・・・です。」


「なにそれ?結局、『です』が付いちゃってるじゃない?」


「ごめん・・・。」


ふたりは、顔を見合わせて笑ってしまった。
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