元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
「7年前、私たち『Lumiere』のラストステ-ジはここでの卒業ライブだった。」


(なんだって!)


この言葉を聞いた瞬間、湊は驚愕したような表情を浮かべるが、和那は前を向いたまま。


「5人で、精一杯演奏した。最高だった、4年間のバンド活動の中で、最高のパフォ-マンスだったと、今でも思ってる。舞台を降りた私の中にあったのは、もちろん寂しさもあったけど、やり切ったという満足感の方が強かった。全部、終わった・・・でも私の中で、もう1つだけやり残したことがあった。この日の主役は、私たちじゃなかったから。」


「・・・。」


「この日のトリを務める『Riot Beat』。私たちの世代の自他とも認めるNO1である、彼らのラストステ-ジを見届けたい。それが私たちの青春の幕引きなんだ、そう思って、汗を拭く間も惜しんで、私は客席に飛び出した。」


言葉を失っている湊の横で、和那は少し、遠くを見るような表情になる。


「ステ-ジは圧巻だったよ、私たちとは次元が違ってた。『Riot Beat』のリーダ-である、朝比奈湊のベース音が、あの空間の全てを支配していた。私の視線は・・・彼に釘付けだった。何時間でも聴いていたい、まだ終わって欲しくない。そんな思いで見てたけど、でも時は非情。あっという間にラストの曲になって・・・全てが終わり、彼がやり切ったみたいな顔で『じゃ、さよなら!』なんて言葉を残して、ステ-ジを降りてくから、私は堪らなくなって、ステ-ジ裏に駆け戻ると、そのまま彼に飛びついて言ってた。『終わっちゃダメだよ!もっと先に行ける、ううん、行くべきだよ!』なんてね。」


「・・・。」
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