元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
ストラップを持った手を、ゆっくりと弦に伸ばす。肩へ掛けたベースの重さが、今更ながらズシリと感じられる。
その瞬間、胸が苦しくなった。忘れていたはずなのに、左肩へ掛かる重み、指板の感触、木の匂い・・・全部覚えていた、いや甦って来た。
「くそっ。」
湊の口から、そんな言葉が思わず漏れる。何が悔しいのか自分でも分からない。忘れたかった、終わったことにしたかった、なのに・・・。身体は裏切らない、指も自分でも驚くくらいスム-ズに動いて行く。まるで、自分の意思など無視したかのように。
あっという間に、1曲目が終わった。すぐに神崎が2曲目開始の合図を出す、湊も当たり前のように、それに応じてスタンバイする。自分が出したはずの「1曲だけ」の約束なんて、どこかに吹っ飛んでいた。そんな湊を横目で見ながら、神崎が小さく笑っている。彼はわかっていたのだ、ガタガタ言っていても、いざ始まってしまえば、湊はもう止まらなくなるって。
全ての曲のリハが終わった。
「やっぱり似合ってるな。」
神崎がニヤリと湊に笑い掛ける。
「うるさいですよ。」
照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに答えた湊の耳に
「ケーブルそっち!」
「モニター確認終わりました!」
「『STILL BLUE』さん、あと7分です!」
飛び回るスタッフの声が耳に入って来る。
「次はステージだ。」
「はい。」
返事をした瞬間、湊の心臓が大きく鳴った。
その瞬間、胸が苦しくなった。忘れていたはずなのに、左肩へ掛かる重み、指板の感触、木の匂い・・・全部覚えていた、いや甦って来た。
「くそっ。」
湊の口から、そんな言葉が思わず漏れる。何が悔しいのか自分でも分からない。忘れたかった、終わったことにしたかった、なのに・・・。身体は裏切らない、指も自分でも驚くくらいスム-ズに動いて行く。まるで、自分の意思など無視したかのように。
あっという間に、1曲目が終わった。すぐに神崎が2曲目開始の合図を出す、湊も当たり前のように、それに応じてスタンバイする。自分が出したはずの「1曲だけ」の約束なんて、どこかに吹っ飛んでいた。そんな湊を横目で見ながら、神崎が小さく笑っている。彼はわかっていたのだ、ガタガタ言っていても、いざ始まってしまえば、湊はもう止まらなくなるって。
全ての曲のリハが終わった。
「やっぱり似合ってるな。」
神崎がニヤリと湊に笑い掛ける。
「うるさいですよ。」
照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに答えた湊の耳に
「ケーブルそっち!」
「モニター確認終わりました!」
「『STILL BLUE』さん、あと7分です!」
飛び回るスタッフの声が耳に入って来る。
「次はステージだ。」
「はい。」
返事をした瞬間、湊の心臓が大きく鳴った。