元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
⑥わからない
翌朝。会社のエントランスを抜けながら、和那はほとんど眠れていない頭で小さく息を吐いた。
昨夜のあの光景が、ずっと頭から離れない。照明、歓声、そしてあの音・・・。終わったはずの人が奏でたとは、とても思えないくらい、生きた音だった。
(素晴らしい1日だった・・・よかった、本当によかった・・・。)
そんな感慨と共に、オフィスに入ると
「昨日はすごかったですよねぇ!」
「現場、めちゃくちゃ沸いてたし!」
社員たちが、フェス成功の余韻に浸って盛り上がっている姿が目に入る。
「おはよう、南澤くん。」
満面の笑みを浮かべた営業部長が近づいて来た。
「昨日からスポンサ-や取引先からの電話やメールが凄くてね。お陰様で嬉しい悲鳴だよ。」
「そうですか。」
「今回の大成功で、ウチが音楽フェスに強いことは、業界周知の事実になった。これからのウチの重要な収益の柱の1つになり得るぞ。南澤くん、これからも引き続きよろしくな。」
まくしたてるように言うだけ言って、上機嫌で離れて行く上司の後ろ姿を和那が見送っていると
「おはようございます。」
ボソッとした声。ハッとして、その声の方を振り返る。
「朝比奈さん。」
何事もなかったような顔で出社して来た湊が、そこにいた。少し眠そうな目、いつもの黒いスーツ、社員証を首から下げ、手にはコンビニのコーヒー。
「あっ、来た!。」
「昨日のヒーロ-。」
すると、それまでおしゃべりに夢中だった面々が、湊に気付いて、バラバラと近づいていく。
昨夜のあの光景が、ずっと頭から離れない。照明、歓声、そしてあの音・・・。終わったはずの人が奏でたとは、とても思えないくらい、生きた音だった。
(素晴らしい1日だった・・・よかった、本当によかった・・・。)
そんな感慨と共に、オフィスに入ると
「昨日はすごかったですよねぇ!」
「現場、めちゃくちゃ沸いてたし!」
社員たちが、フェス成功の余韻に浸って盛り上がっている姿が目に入る。
「おはよう、南澤くん。」
満面の笑みを浮かべた営業部長が近づいて来た。
「昨日からスポンサ-や取引先からの電話やメールが凄くてね。お陰様で嬉しい悲鳴だよ。」
「そうですか。」
「今回の大成功で、ウチが音楽フェスに強いことは、業界周知の事実になった。これからのウチの重要な収益の柱の1つになり得るぞ。南澤くん、これからも引き続きよろしくな。」
まくしたてるように言うだけ言って、上機嫌で離れて行く上司の後ろ姿を和那が見送っていると
「おはようございます。」
ボソッとした声。ハッとして、その声の方を振り返る。
「朝比奈さん。」
何事もなかったような顔で出社して来た湊が、そこにいた。少し眠そうな目、いつもの黒いスーツ、社員証を首から下げ、手にはコンビニのコーヒー。
「あっ、来た!。」
「昨日のヒーロ-。」
すると、それまでおしゃべりに夢中だった面々が、湊に気付いて、バラバラと近づいていく。