元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
「はぁ・・・。」


そして今、数日前の和那の吐いたものより、数倍大きいため息を、彼女の前で吐いていたのは柚希だった。土曜の昼下がり。この日、高校以来の親友を呼び出し、柚希が勢い込んで、現状を確認し始めてから、わずか数分しか経っていない。


「何やってんの、ナミ?っていうか、あんた何がしたいの?」


やがて、呆れ果てたという感情を隠そうともせず、柚希が口を開く。


「何がしたいって・・・。」


「消息不明になっちゃった推しが、突然出来の悪い部下となって自分の前に現れて、気をもんでいたけど、なんとか心の整理を付けて、前を向いて歩き出した。本当によかった、そんな彼をこれからも上司として見守って行こう。めでたし、めでたし・・・ナミが今やってることって、こういうことだよね?」


「いや、それは・・・。」


「じゃあさ、そうやって奴の物わかりのいい上司をさ、一生やってればいいじゃん。」


「ちょっと、柚希・・・。」


あまりの親友の言い草に、堪りかねたような声を上げた和那だったが


「私の言ってること、なんか間違ってる?ナミ。」


語気鋭く、柚希に言われ、何も言えなくなって黙る。
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