《TwilightNotes ― 夜明けに鳴る音》

Scene16「信じたかったのに」

 ベッドに横たわったまま、麻里奈は手の中のスマホを見つめていた。
 通知はひとつも来ていない。
 ――あの名前が、この画面にもう表示されることはないのかもしれない。

 カーテンの隙間から漏れた街の灯りが、白い天井を淡く照らす。

(なんで……何も言ってくれなかったの)

 胸の奥に沈んでいく問いかけは、誰にも届かない。

 あの日、すれ違ってしまった。
 でも本当は――ただ話をしたかっただけだ。

 “夢を叶えるために選んだ道”。
 それがすごいことであることも、誰よりわかってる。
 だからこそ、どうして自分には教えてくれなかったのか。

 自分はそんなに頼りない存在だったんだろうか――
 そんな思いが心の隅で疼く。

(大和くんは……私のこと、どう思ってたんだろう)

 文化祭のステージ。
 あの歌、あのダンス。
 心がひとつに重なった、と信じていたあの瞬間。

 それがもし、自分だけの思い出だったとしたら。

「……そんなの、やだよ……」

 小さく漏れた声に合わせて、熱い涙が頬をつたう。

 伝えたい言葉があった。
 信じたい気持ちがあった。
 でも、一度できた距離は思っている以上に深くて、
 触れたくても届かなくて。

 麻里奈はスマホの画面を伏せ、枕に顔をうずめた。

(今、会えたら……私は、なんて言えばいいんだろう)

 答えの出ない問いだけが、夜の静けさの中に浮かび続ける。

 ――信じたかったのに。

 
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