《TwilightNotes ― 夜明けに鳴る音》
Scene3「午後の休憩時間、スタジオの片隅」
撮影の合間。
スタッフたちが機材をチェックし、スタジオの空気が少しだけゆるむ。
控えスペースの隅で、麻里奈と光輝が資料を手に立っていた。
ふたりは軽く言葉を交わしながら、タブレットを覗き込む。
「違いますよ、須田さん。私、ちゃんと準備しましたってば」
「いやいや、これだけ完璧に進んでるのは、僕の根回しのおかげでしょ?」
「えーっ、ひどいなあ……」
笑いながら肩をすくめる麻里奈。
光輝は軽く手を伸ばし、彼女の肩をそっとたたいた。
──まるで、昔から息の合ったチームのように。
麻里奈は自然に笑い返す。
仕事の現場では、こんな小さな信頼関係が空気を和らげる。
けれどその光景を、今――別の場所から見ている人がいた。
---
撮影モニターの前。
大和は、画面越しに麻里奈たちを見つめていた。
視線を逸らそうとしても、どうしても目が離れない。
麻里奈の笑顔。
誰かとあんなふうに、自然に肩を触れ合う仕草。
──知っているはずの表情なのに、手の届かない距離にある気がした。
(……あんな顔、俺の前では見せなかったのに)
胸の奥がざらつく。
焦燥、嫉妬、虚しさ。
それでも、どれも正解じゃない気がした。
息が詰まりそうになり、
大和は無意識にモニターから視線を外す。
「……少し、外の空気吸ってきます」
手近にあったペットボトルを掴み、スタッフに短く告げる。
スタジオの扉を開けると、冷たい空気が肌に触れた。
---
廊下は静かだった。
壁際に寄りかかりながら、大和は大きく息を吐く。
(なんで、今さら……)
高校の頃、彼女と一緒にいた時間が脳裏をよぎる。
笑って、喧嘩して、夢を語って。
それなのに――
もう、あの頃の“距離”には戻れない。
喉の奥に残るざらついた想いは、
あの日の夕焼けと同じように、
今も胸の奥で、静かにくすぶっていた。
スタッフたちが機材をチェックし、スタジオの空気が少しだけゆるむ。
控えスペースの隅で、麻里奈と光輝が資料を手に立っていた。
ふたりは軽く言葉を交わしながら、タブレットを覗き込む。
「違いますよ、須田さん。私、ちゃんと準備しましたってば」
「いやいや、これだけ完璧に進んでるのは、僕の根回しのおかげでしょ?」
「えーっ、ひどいなあ……」
笑いながら肩をすくめる麻里奈。
光輝は軽く手を伸ばし、彼女の肩をそっとたたいた。
──まるで、昔から息の合ったチームのように。
麻里奈は自然に笑い返す。
仕事の現場では、こんな小さな信頼関係が空気を和らげる。
けれどその光景を、今――別の場所から見ている人がいた。
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撮影モニターの前。
大和は、画面越しに麻里奈たちを見つめていた。
視線を逸らそうとしても、どうしても目が離れない。
麻里奈の笑顔。
誰かとあんなふうに、自然に肩を触れ合う仕草。
──知っているはずの表情なのに、手の届かない距離にある気がした。
(……あんな顔、俺の前では見せなかったのに)
胸の奥がざらつく。
焦燥、嫉妬、虚しさ。
それでも、どれも正解じゃない気がした。
息が詰まりそうになり、
大和は無意識にモニターから視線を外す。
「……少し、外の空気吸ってきます」
手近にあったペットボトルを掴み、スタッフに短く告げる。
スタジオの扉を開けると、冷たい空気が肌に触れた。
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廊下は静かだった。
壁際に寄りかかりながら、大和は大きく息を吐く。
(なんで、今さら……)
高校の頃、彼女と一緒にいた時間が脳裏をよぎる。
笑って、喧嘩して、夢を語って。
それなのに――
もう、あの頃の“距離”には戻れない。
喉の奥に残るざらついた想いは、
あの日の夕焼けと同じように、
今も胸の奥で、静かにくすぶっていた。