婿入りの顛末
婚約できた王子様 -セドリック殿下視点-
父上も母上もユーハイム侯爵も苦いものを飲んだような顔をしているが、婚約できるのならなんだって良い!どんな条件も飲む!
追加した分を確認して、ソフィアがさらさらとサインをした。
ソフィアはサインしてくれた!
跪いたままソフィアの手を取ろうとすると、するりと逃げられたけど、そっぽを向かれたけど、
ソフィアはサインしてくれたんだ!
ソフィアに差し出された書類に目を通す事なく、僕もサインをした。
これで婚約できたんだ!ソフィアは僕の婚約者だ!
涙が引っ込んだ僕は放心状態のまま、一言も話さずそのほかの書類にサインをし、両親と側近二人に抱えられて馬車に押し込まれた。
僕はサインをしてからずっと薄ら笑いを浮かべた放心状態だったらしい。
夕食の席で気味悪そうに僕を見ていた兄上たちは、事の次第を聞いて哀れな弟をずいぶん励ましてくれたらしい。
らしいというのは、ソフィアに背を向けられて以降、次の朝目が覚めるまでほとんど覚えていないからだ。
これから大っぴらに会えるし手紙も出せるし贈り物もできる!
それよりなにより先ずは謝らなくては。本当は会って謝りたい。自分のしでかした過ちが大きすぎて心を飛ばしてしまって言葉が発せられず謝罪が遅れてしまった。ソフィアと婚約出来た僕は世界一幸せ者だということをつたえるんだ。
しかし、婚約の次の日にソフィアに会いに行くことは侯爵に拒否された。
まだ気持ちの整理がついていないから、次の定例のお茶会まで合わないというソフィアの希望らしい。それなら、と執務の合間を縫って手紙を送っていたらこっちはルーカスに止められた。
「殿下、一日に何通も手紙が届くと、正直鬱陶しいです。」
仕方がないので毎朝手ずから摘んだ花を小さな花束にしてカードと一緒に届けることにした。
会ってくれないけれど、返事をもらえないけれど、ソフィアの目に入ればそれでいい。
護衛のカーターと共に早朝に侯爵邸へ着くと、侯爵が贈り物を受け取りそのまま一緒に馬車に押し込まれて仕事に向かう。
ひと月経った頃、氷点下だった使用人たちの纏う温度がちょっとだけ上がった。
カーターは、メイドたちに会釈を返してもらえたと泣いていた。
そして初めてのお茶会の前日にはソフィアの専属侍女がプレゼントとカードを受け取ってくれ、ソフィアからのカードを渡してくれた。
「お会いするのを楽しみにしています。」
この日は舞い上がりすぎて、一日中明日のお茶会の事しか頭になかった。
ソフィアも楽しみにしてくれているんだ!
追加した分を確認して、ソフィアがさらさらとサインをした。
ソフィアはサインしてくれた!
跪いたままソフィアの手を取ろうとすると、するりと逃げられたけど、そっぽを向かれたけど、
ソフィアはサインしてくれたんだ!
ソフィアに差し出された書類に目を通す事なく、僕もサインをした。
これで婚約できたんだ!ソフィアは僕の婚約者だ!
涙が引っ込んだ僕は放心状態のまま、一言も話さずそのほかの書類にサインをし、両親と側近二人に抱えられて馬車に押し込まれた。
僕はサインをしてからずっと薄ら笑いを浮かべた放心状態だったらしい。
夕食の席で気味悪そうに僕を見ていた兄上たちは、事の次第を聞いて哀れな弟をずいぶん励ましてくれたらしい。
らしいというのは、ソフィアに背を向けられて以降、次の朝目が覚めるまでほとんど覚えていないからだ。
これから大っぴらに会えるし手紙も出せるし贈り物もできる!
それよりなにより先ずは謝らなくては。本当は会って謝りたい。自分のしでかした過ちが大きすぎて心を飛ばしてしまって言葉が発せられず謝罪が遅れてしまった。ソフィアと婚約出来た僕は世界一幸せ者だということをつたえるんだ。
しかし、婚約の次の日にソフィアに会いに行くことは侯爵に拒否された。
まだ気持ちの整理がついていないから、次の定例のお茶会まで合わないというソフィアの希望らしい。それなら、と執務の合間を縫って手紙を送っていたらこっちはルーカスに止められた。
「殿下、一日に何通も手紙が届くと、正直鬱陶しいです。」
仕方がないので毎朝手ずから摘んだ花を小さな花束にしてカードと一緒に届けることにした。
会ってくれないけれど、返事をもらえないけれど、ソフィアの目に入ればそれでいい。
護衛のカーターと共に早朝に侯爵邸へ着くと、侯爵が贈り物を受け取りそのまま一緒に馬車に押し込まれて仕事に向かう。
ひと月経った頃、氷点下だった使用人たちの纏う温度がちょっとだけ上がった。
カーターは、メイドたちに会釈を返してもらえたと泣いていた。
そして初めてのお茶会の前日にはソフィアの専属侍女がプレゼントとカードを受け取ってくれ、ソフィアからのカードを渡してくれた。
「お会いするのを楽しみにしています。」
この日は舞い上がりすぎて、一日中明日のお茶会の事しか頭になかった。
ソフィアも楽しみにしてくれているんだ!