日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 くたびれて、深く息を吐き出す。切なさが混じった、幸せでも不幸でもないため息。
 石段の隅に座り込みながらぼんやりと遊歩道を眺めていると。
 観光を楽しむ人々の中に、何やら挙動がおかしい男性の姿が目に入った。うろうろして左右に首を振って、誰かを捜しているような雰囲気。足が長くてがっしりした後ろ姿だ。

 私は、その男性の背中を知っている。何度も見てきた、優しい後ろ姿。

 男性は立ち止まると、ポケットからスマートフォンを取りだして。慌ただしく操作し、電話をかけ始めた。
 するとほぼ同じタイミングで、私のスマートフォンがメロディを響かせる。画面を見てみれば、そこにはチョウさんからの着信の知らせが。
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