日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 私はチョウさんと手を繋ぎながら店内へと入っていく。
 案の定、中は混雑していた。お客さんたちは、蒸篭に並べられた熱々の小籠包を美味しそうに食べている。見ているだけで更にお腹が空いてしまう。
 一人で食事をする時、私はもっぱらホテルのレストランか、テイクアウトをして部屋で食べたりしていた。こういう中国ならではのお店で食べるのはこれが初めてだ。
 壁には龍や虎の絵画が飾られ、天井に紅色の提灯が施されていた。
 店員さんが席へ案内してくれた後、すかさずチョウさんは壁際の椅子を引いた。

「どうぞ座って」

 チョウさんに促されるまま私はそっと腰掛ける。
 これまで、何度だって二人で食事をしてきたはずだ。あくまでもそれは、仕事仲間としてだった。
 でも今は、より親しい関係となって彼の隣にいられる。そのことが嬉しくてたまらなくて、食べる前から胸がいっぱいになりそうだった。
 レストランの素朴な椅子に座る二人の距離は、とても近かった。
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