日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 そばにいたいのなら私が中国に移住する方法もあるにはある。けれどそれは簡単なことじゃないし、解決策としては違う気がした。仕事のこともあるのに、恋人の後を追って中国に移り住むのは浅はかだ。
 燃えるほどの恋をしているなら、あれこれ考えずに「私が中国に住みます」と勢いに任せて言ってしまうかもしれない。
 残念だけれど、そこまでの覚悟は今の私にはない。
 チョウさんのことを信じていたいし素敵な人だいうのは充分に理解している。
 けれど──
 肩をすくめ私は作り笑いを浮かべた。

「お父さんを思って決めたことなんですよね。そういう事情があるなら、ホテルの仕事を辞めてしまうのも仕方がないと思います」

 わざと明るめのトーンでそう言うが、私の本心は全く違う。

「私、明日には日本に帰ります。どうかチョウさんは、中国で幸せに暮らしてください」
「……ムラオカさん」

 チョウさんの声が、普段よりも低く聞こえた。そんな彼の顔を私は直視できない。
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