日本語が拙い外国人と恋仲になりました

28・はじめての……

 二人でエントランスへ入り、もう一人宿泊したいとフロントに伝える。満室なので同じ部屋での宿泊なら可能だとスタッフに案内される。もちろん、私はそのつもりだ。
 淡々と対応する女性のフロントスタッフ。
 もっと愛想よくしてもいいんじゃない? 職業病だろうか、そんなことを密かに思う。
 だけど今は、チョウさんと一緒にいられるのが嬉しくて。スタッフの対応なんてすぐにどうでもよくなった。

「ムラオカさんの部屋はどこですか」
「五階にありますよ」
「分かりました。行きましょう」

 エレベーターに向かって歩き出すチョウさんの動きが、どこか鈍い。顔も強張っている。
 まさか、緊張してるの……?
 ホテルに入った瞬間、彼はどこか落ち着きがなくて。やっぱり、やめておけばよかったかな? 今日のところは家に帰ってもらった方がよかったのかな?
 なんて雑念があったとしても、私はもうチョウさんのそばから離れたくない。
 欲張りな女でごめんね、チョウさん。
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