日本語が拙い外国人と恋仲になりました

30・好きに生きる

 ※ ※ ※

 彼女が日本に帰ってから三カ月が経った。
 春節が終わり、上海市内はいつもと変わらぬ忙しない日常が流れていた。
 そんな中、僕は仕事をするわけでもなく、なんでもない日々を過ごした。
 こんな毎日とももうすぐお別れだ。その前に寄るべき場所に行こう。

 ──僕は父と共に母の墓参りに訪れた。
 午前中は肌寒く、けれども雲ひとつない天気が心地よい。
 りんごやバナナ、饅頭などの食べ物を抱え、色とりどりの花や線香、紙銭も忘れずに用意した。

 上海郊外にある広大な墓地。入り口から歩いて五分ほどしたところに、母の墓がある。まだ新しい墓石に刻まれた母の名前と顔写真。なんとなくだけど、写真の中の母は安堵したような目をしているように見える。
 軽く墓周りを掃除してから、たくさんの花や食べ物を供える。紙銭を燃やして、僕は跪きながら母の墓に向かって礼をした。
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