日本語が拙い外国人と恋仲になりました
「東亮」

 後ろから、父が僕に呼びかけてくる。振り向くと、無表情で父がこちらを見つめていた。

「母さんもきっと喜んでいるな。やっと、お前が自分の道を見つけたんだからな」
「父さんがどうしてもって言うから」

 僕の返答に、父は肩をすくめた。

「まったく。お前はもういい大人なんだぞ。親のことなんか気にしなくていい」
「なに言ってるんだよ。どんなに歳を取っても僕は父さんの子なんだ。何かあったら心配だって思うのは当たり前だろう?」
「違う、そういうことじゃない」

 父は眉間にしわを寄せ、僕に合わせて膝をついた。

「前も言ったはずだ。おれたちはお前を縛りつけてしまった。学生時代、勉強しかやらせてやらなかった。だからもう……これからは何も気にせず自分の好きなように生きてほしいんだ。これは、母さんの願いでもあるんだぞ」

 父の言葉に、僕はふと笑ってみせる。

「ああ、それが父さんと母さんの優しさなんだね」

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