日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 弱い風が吹き、僕たちの間に線香の香りが通り過ぎた。
 母さんにも聞こえるように、僕はわざと語尾を強くする。

「お言葉に甘えて、これからは僕の好きなようにやらせてもらうさ。後悔したくないし。でも勘違いするなよ? 父さんのことだって、いつでも気に掛けるからさ」
「ふん。お前という奴は……」

 もう一度母の墓に身体を向け、僕は燃えゆく紙銭を眺め続けた。

「また来年の春節にでも休みを取って、会いに来るよ」

 立ち上がる煙と共に、僕のその言葉は空へと消え去っていった。
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