日本語が拙い外国人と恋仲になりました
「あんた、どの口が言ってるの!? ひとをバカにしないで。奥さんと子供がいるんでしょ! 結婚してるくせに、これ以上私に構まないで!」

 喉が痛くなるほど叫んだ。車が通り過ぎる音にも負けず、私の絶叫は夜の街に響き渡る。
 大野は全く怯む様子がない。面白そうに、鼻で笑うだけだった。

「そんなに怒るなよ。仕方ねぇじゃん。うちの奥さん、子供が生まれてから全然構ってくれなくなっちゃったんだよ。ミキ、慰めてくれよ~。オレのことまだ好きだろ?」

 甘えた声を出しながら、大野はぐいっと私の身を引き寄せてきた。気持ち悪いぬくもりが、全身に伝わってくる。
 吐き気がした。

「誰があんたみたいな男。好きなわけない! ふざけるのもいい加減にして……!」

 どれだけ私が叫んでも無駄だった。抵抗すればするほど、大野に笑われる。
 私が拒絶しても意に介さず、抱きついてくる始末。

「やめて。やめてよ……!」

 悔しい。惨めだ。こんな最低な奴に振り回されていた自分が心底情けない。
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