日本語が拙い外国人と恋仲になりました

34・暴走男と冷静彼の対比

 低く鋭く、怒気のこもった叫び声。それを聞いて、私はハッとした。
 この、拙い日本語を話す人は……。

「トウリョウさんっ?」

 振り返ると、たしかに彼が、トウリョウさんがいた。
 どうして彼がここに……?
 突然現れた彼は、眉間にしわを寄せて肩で息をしている。「怒」の感情を乗せて、大野を睨みつけた。

「アナタは今すぐに彼女を放しなさい! 彼女はとても嫌がっている!」

 雄叫びを上げ、彼はこちらに歩み寄ってきた。
 大野の方が背は若干高いが、体つきはトウリョウさんの方ががっしりしている。
 ふつふつと湧き上がる彼の憤りが空気から伝わってきて、圧が半端ない。 
 大野は目を見開き、焦ったように口を開く。

「な、何なんだよあんた。関係ないだろ!」
「関係ある! 彼女はワタシの恋人です。大事な人を苛める男をワタシは許しません」
「はあ? 何言ってんだこいつ……。まさか、外人か? ミキがあんたみたいな奴を好きになるわけないだろ! ミキはオレみたいにイケてる男がタイプなんだよ」

 大野の自分に対する過大評価を耳にして、私はたちまち鳥肌が立った。「イケてる男」って。正気なの? クソ野郎の間違いじゃなくて? 
 それに……彼をバカにしたようなこの口ぶり。絶対に許せない!
< 156 / 172 >

この作品をシェア

pagetop