日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 顔写真や名前、国籍などが書かれた在留カードだった。たしかに、チョウ トウリョウさんのものだ。住所は日本のものになっている。
 えっ、どういうこと?

「ワタシは就労ビザを更新しました。借りるアパートもそのままです! ワタシはまた日本で暮らします」
「え……ええ! そうなの?」

 突然すぎる展開に、私は目を丸くした。
 あれ? 今回日本に来たのは一時的じゃなかったの? ……またこっちで暮らすためだった、ということ!?

 何にも言葉が出てこない。聞きたいことは、山ほどあるのに。人って驚きすぎると、こんなにも動揺するものなのね……?

 呆然とする私に対し、彼は破顔し続ける。

「ワタシは思いました。アナタと離れて暮らすと心が痛い。そして何があったとき、助けるのが難しい。ワタシはアナタを守ると約束した」

 離ればなれでいると辛い。それは、そうだ。私も同じ気持ちだ。

 私は今まで自分自身を、分かっていなかった。
 ほどよい距離感があった方が心地よいからと、これまでの恋人とは一定の距離を保って関わってきた。
 けれども、離れすぎててもよくないんだ。寂しくなるんだ。
 どんなにマメに連絡を取り合っても、心の距離が近くても、やっぱり海外だとどうしても会いづらくなってしまう。
 当たり前なことのはずなのに。いざ自分で経験すると、思った以上に苦しい。
 トウリョウさんがそばにいることで自覚した。私は、彼と離れていたくないんだってこと。
 けれど、ひとつだけ気掛かりなことがあった。
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