日本語が拙い外国人と恋仲になりました

5・告白



 月日は流れる。
 ゴールデンウィークは観光客が倍以上増えるので、何かと忙しかった。いつもはサラリーマンの宿泊客が多いのに、この時期はホテル利用にあまり慣れていないお客様が増えてちょっとだけ大変。備品や設備などの使いかたが分からず、たびたび電話で呼び出されることがあったりする。
 大型連休の忙しいシーズンが終わると、また通常の日々に戻っていく。
 街には観光客が減っていき、毎日忙しそうにするサラリーマンやOLで溢れた。

 ──チョウさんは相変わらず、支配人補佐兼中国語翻訳スタッフとして働いている。
 私たちの関係は更に深くなっているような、そうでもないような。帰りにふらっと一緒に食事をしに行くのは続いていて、メッセージアプリでの個人連絡もするようになった。

《ムラオカさん、お疲れさまです。今日もよくがんばったよ》
《ワタシはお休みの日だ。日本語を勉強している。ムラオカさんは中国語を勉強しますか》
《朝鮮人参は栄養があるよ。よく食べてほしい。今度渡します》
《明日の仕事は一緒ですね。ワクワクしています》
《この前話をした。朝鮮人参はお茶に入れるとよいですよ》
《今日は雨が降る。仕事に行くときに注意してください》

 などなど、他愛ないメッセージがやたらと送られてきた。
 なんでチョウさんって、朝鮮人参にこだわるんだろ。
 ……ちょっと不思議で、面白い。
 
 チョウさんの拙い日本語は、いつまで経っても上達する気配がない。けれども、カタコトの喋りかたがくせになったりして。早口で母国語を話しているときのギャップも、見ていて飽きない。
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