日本語が拙い外国人と恋仲になりました
7・気まずい?
◆
「ええ!? 断っちまったんすか!」
狭いスタッフルームに菅原くんの絶叫が響き渡る。
私は咄嗟に人差し指を立てて「し!」と注意した。
「ロビーまで聞こえるわよ!」
「す、すんません……つい」
パソコンのモニターに映る監視カメラの映像を、慌てて確認した。幸い、ロビーにお客さんはいない。
菅原くんは安堵したような顔をする。声量を落とし、再度口を開いた。
「村岡さん、出勤するなり元気ないなーと思ったら。チョウさんとそんなことがあったんですね……。だから落ち込んでるわけですか」
「ううん。私は元気よ。ただ、これからちょっと気まずくなるのかなぁって」
「あぁー」
両腕を組み、菅原くんは険しい表情を浮かべた。
「職場恋愛とかって、こうなると面倒っすよね。俺も似たような経験があるから、その気持ち分かる気がします」
「菅原くんも?」
「俺の場合は高校のときの話なんすけどね! 同じクラスの子と付き合ったことがあるんですけど、半年くらいでケンカ別れしちまって! いやー、クラス替えで別々になるまでマジで気まずかったっす。クラスメイトの何人かに勘づかれてて、変に気ぃ遣われてますます居心地悪かったっていうか」
「そ、そうなんだ。大変だったね……」
「でも、村岡さんとチョウさんの場合はちょっと事情が違うか。一番気まずいのはチョウさんだと思いますよ。振られたばっかなんだし」
話をしながら、菅原くんはチラッと今日のシフトを確認した。顎に手を当て「なるほど」と呟く。
「今日はチョウさん、夜勤なんっすね。十時からだから、ちょうど村岡さんと入れ替わりだ」
私はぎこちなく頷いた。
今日、チョウさんが夜に来る。軽く引き継ぎをするだけだから長話をすることはない。
でも……
「あ」
と、菅原くんは唸りながら続けた。
「来週のシフト、やべぇっすね。三日連続でチョウさんと日勤被ってるじゃないですか、村岡さん」
「……ええ、そうみたいね……」
大変なことに、来週はチョウさんとシフトが被りまくりなの。
「ええ!? 断っちまったんすか!」
狭いスタッフルームに菅原くんの絶叫が響き渡る。
私は咄嗟に人差し指を立てて「し!」と注意した。
「ロビーまで聞こえるわよ!」
「す、すんません……つい」
パソコンのモニターに映る監視カメラの映像を、慌てて確認した。幸い、ロビーにお客さんはいない。
菅原くんは安堵したような顔をする。声量を落とし、再度口を開いた。
「村岡さん、出勤するなり元気ないなーと思ったら。チョウさんとそんなことがあったんですね……。だから落ち込んでるわけですか」
「ううん。私は元気よ。ただ、これからちょっと気まずくなるのかなぁって」
「あぁー」
両腕を組み、菅原くんは険しい表情を浮かべた。
「職場恋愛とかって、こうなると面倒っすよね。俺も似たような経験があるから、その気持ち分かる気がします」
「菅原くんも?」
「俺の場合は高校のときの話なんすけどね! 同じクラスの子と付き合ったことがあるんですけど、半年くらいでケンカ別れしちまって! いやー、クラス替えで別々になるまでマジで気まずかったっす。クラスメイトの何人かに勘づかれてて、変に気ぃ遣われてますます居心地悪かったっていうか」
「そ、そうなんだ。大変だったね……」
「でも、村岡さんとチョウさんの場合はちょっと事情が違うか。一番気まずいのはチョウさんだと思いますよ。振られたばっかなんだし」
話をしながら、菅原くんはチラッと今日のシフトを確認した。顎に手を当て「なるほど」と呟く。
「今日はチョウさん、夜勤なんっすね。十時からだから、ちょうど村岡さんと入れ替わりだ」
私はぎこちなく頷いた。
今日、チョウさんが夜に来る。軽く引き継ぎをするだけだから長話をすることはない。
でも……
「あ」
と、菅原くんは唸りながら続けた。
「来週のシフト、やべぇっすね。三日連続でチョウさんと日勤被ってるじゃないですか、村岡さん」
「……ええ、そうみたいね……」
大変なことに、来週はチョウさんとシフトが被りまくりなの。