日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 何日経っても、音沙汰がない。何度も何度もメッセージアプリを開き、確認する。ちゃんとお礼のメッセージは送信済みになっているから届いてはいるはず。
 どうして、チョウさんからの返事がないんだろう。
 ここ数日、私は一人モヤモヤしていた。
 

 ある早番の日。朝の六時台。
 ラッシュ前の電車内は、比較的まだ空いていた。運がよければ座席にも座れる。
 いつもの車両に乗り込み、中央付近の席が空いていたのでありがたく腰かけた。

 何の気もなしに、私はスマホを取り出す。
 彼──チョウさんからの返信はないけれど、ついついメッセージアプリを開いてしまう。
 過去にやり取りしたメッセージを、なんとなくの気持ちで見返しはじめた。

《ムラオカさんは仕事が終わった? おつかれさまです》
《この前話をした。上海中心大厦はとても高いビルなんだ。外滩から見ると、夜の光が美しい。ワタシがアナタを案内するよ》
《上海には好人と悪人がいる。街に歩く人には注意するべきだ。道や電車で安いものを売る人がいるんだよ。悪質な路上販売から買い取ってはいけない。警察が怒るから気をつけて》
《もし上海に行くならば、ワタシがアナタを守ります》
《上海はいいところたくさん。料理がすごく美味しい》
《早く上海へ行きたいですね》

 それらのメッセージを眺めているうちに、なぜか目の奥が滲んだ。
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