日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 結局、私は十二月頭から十日間ほど休みをもらうことになった。

 情けない。フロントスタッフとして勤めて三年目になるのに。だいぶ仕事に慣れて、そろそろ支配人補佐試験も受けようか考えていく時期なのに。こんなつまらない失敗をするなんて……。

 落ち込んでいるときに、不意に私のスマートフォンが新着メッセージを受信した。業務を開始する前に、さりげなくスマホを取り出す。
 画面を確認した瞬間、私の沈んでいた心が一変。心臓が飛び跳ね、そして高鳴った。

 ──メッセージの送り主は、チョウさんだったから。

 自然と、頬が綻ぶ。やっと、やっと返事がきた……!

 チョウさんの、あのいつもの拙い日本語で書かれたメッセージを期待していた。けれど──そんな可愛いものなんかじゃなかったの。

《我妈去世了》

 そのひとことを確認した瞬間、私は思わず息をするのも忘れてしまう。
 ……嘘。まさか、そんなことがあったの?
 チョウさんのお母さんが、亡くなった。
 中国語で、たしかにそのような内容が綴られていたのだ。
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