日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 先週の日勤終わりのこと。
 私は菅原くんとホテル内のレストランに来ていた。ここは、朝のバイキングとランチタイムは行列ができるくらい混むが、ディナーだけは虚しいほどにガラガラだ。
 主に和食料理を提供しており、食材にこだわりがあってかなり美味しい。その分、ちょっとお高めなの。

 菅原くんは単品で玉子焼を頼もうとしていた。もっと食べないの? と私が訊ねると、彼は苦笑しながら「大学生にとってここのディナーはちと高すぎるんっすよ」なんて答えるの。
 私は肩をすくめた。

「奢ってあげるから好きなの食べなさいよ」

 これに対して、菅原くんは目を輝かせた。

「さすが村岡さん! やっぱできる人は違うっすねぇ!」
「調子いいこと言っちゃって……」

 だいたいそっちから誘ってきたんだから、店のチョイスくらいちゃんと考えなさいよ。
 密かにそう思ったけど、無邪気に「じゃあ唐揚げと天ぷら盛り合わせと、あとこの刺身もお願いします!」とオーダーする菅原くんを前にすると、怒る気にもなれなかった。
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