日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 私の言葉を聞いて、菅原くんは呆れたように肩をすくめた。

「村岡さん。ぶっちゃけ、チョウさんに会いたいんっすよね?」
「は……?」
「チョウさんが来なくなってから、ずっと寂しそうにしてますもん」
「そ、そんなわけないでしょ?」

 私が目を逸らすも、菅原くんはじーっとこっちを見てる。

 や、やめて。言及しないでくれる……?

 私が動揺していても、菅原くんはお構いなしにまくしたてた。

「あのですねー、この際はっきり言わせてもらいますよ! 村岡さんはいつも余裕ぶっこいて『私は恋人なんていらない』『チョウさんは恋愛対象じゃない』『前の人のことなんて忘れた』とか言ってますけど! 俺には分かりますよ、それがぜーんぶ嘘だってことくらい!」
「はぁ? なに言うの。菅原くんに私の気持ちなんて分かるわけないでしょう?」
「分かってないのは村岡さん自身ですよ! 自分の気持ちに嘘ついてどうするんっすか! どうせチョウさんのことが気がかりで、仕事も集中できなかったんですよねえ? 村岡さんがあんなミスするなんておかしいっすもん! だから支配人も気を遣って長期休み取れって言ってくれたのに、素直じゃなかったみたいだし。村岡さんってそういうところ焦れったいっすよね!」
「ちょ、あんた、なに言って……」

 私が反論する前に、料理が運ばれてきた。
 たくさんの料理が並べられると、菅原くんは目を輝かせ「うまそう!」と上機嫌になる。今の今まで生意気に説教みたいなことしてきたクセに……切り替えが超早い奴。
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