日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 翌朝。
 カーテンの隙間から朝陽が差し込み、眠りからそっと私を起こしてくれた。
 見慣れない白い天井が目に映る。
 横たわったまま伸びをして、深く呼吸した。

 はあー。昨晩、メッセージも送らずに寝落ちしちゃった……。
 手探りでスマートフォンを見つけると、すぐさま電源をオンにした。数秒で画面が明るくなり、今の時刻を表示してくれた。

「もう七時か」

 いつの間にか九時間も寝ていたようだ。贅沢にもほどがある。
 そのままの流れでメッセージアプリを開いてみるも、やはりチョウさんからは何も届いていなかった。
 つい最近までほぼ毎日メッセージをくれたのに。それがないとなんともいえない寂しさを感じてしまう。
 変なの。
 私は一体、チョウさんのことをどう思っているんだろう。付き合いたいとか以前に、彼からの告白を断ったくせに。そもそも、私はこの先誰とも付き合っちゃいけない女なんだから。
 じゃあなんでわざわざ上海にまで来たの? 会ってどうするの? 大人しく日本で待っていればいいんじゃないの?
 本当に自分の行動が分からない。会いたいから来たのには違いないんだけど、これからどうするつもりなの?
 中途半端な気持ちで会おうとするなんて、迷惑かけるに決まってる。
 考えはじめると自分への疑問が止まらなくなってしまう。
 よく寝てすっきりしたせいか、色んなことが思考を巡った。

「違う。ただ、ノリと勢いに任せて来ちゃっただけ」

 誰にも聞かれることもなく、言い訳ともいえる私の独り言は、壁と壁の間を反射して消えていった。
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