日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 ぬくっと起き上がり、部屋の中を見渡す。自分が住んでいるアパートの一室よりも広い部屋。
 シングルベッドと小さな椅子と机、壁に掛かった32インチのテレビくらいしかないけれど、それなりに居心地がいい。
 テレビをつけると、流れてくるのは早口の中国語で喋る番組だけ。字幕を目で追いながらなんとか内容は理解できるけど、読むだけで疲れる。
 チョウさん、今頃なにしてるのかな。テレビでも見ているのな。そもそもご実家にいるのかな? お葬式はとっくに終わったわよね。精神的にはまだまだ辛いだろうな。
 連絡くらいは取りたいなぁ。
 ベッドから抜け出すこともせず、テレビをつけたまま私は再びスマートフォンに視線を戻す。
 アプリを開き、チョウさん宛てにメッセージを打ちはじめた。

《今、上海にいます》

 これだけで、いいかな?
 ……いや、これだけじゃ「だから何?」「なんで上海にいるの?」って思われる。

《今、上海にいます。よければお会いしませんか?》

 ……うーん。唐突すぎるかも。そもそも忙しいかもしれないのに、一方的過ぎる。

《実は昨日から上海にいます。ちょっとした理由があって。お時間があれば会いませんか?》

 これなら、どうかな? ちょっとした理由なんて、あってないようなものだけど(ノリと勢いで来たわけだし)。
 時間がなければチョウさんも断りやすい、と思う。これならいいかも。

 よし、送ってみよう。
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