日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 聞きたいことは山ほどある。でも、家庭の事情を私がズケズケと訊くのは違うと思った。
 何よりも一番気になることは仕事の件。恐る恐る、問いかけてみた。

「ねえ、チョウさん」
『何ですか?』
「メッセージの件……あれは、どういうことですか?」
『ああ、仕事のこと、ですね』

 はっきりと言葉にできない私の疑問を、チョウさんは理解したようだ。歯切れが悪くなっている。
 チョウさんは間を置いてからこう答えた。

『……ワタシは、仕事を辞めると思います』
「そんな。どうして? あんなに一生懸命、働いていたのに」
『ワタシは上海に住むことを考えます』
「もう日本には戻らないと言うこと?」
『その通りです』

 なんで? 日本のことが大好きなんじゃないの? お母さんが亡くなったことで、気持ちが変わったの? 何か事情ができたの? どうして、なんで?
 たくさんの疑問が頭の中に浮かぶ。だが、私はそれらの言葉を口にするのを寸前で止めた。
 チョウさんの事情に私が深くつっこんではいけない。
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