日本語が拙い外国人と恋仲になりました

18・僕の居場所はどこだろう


 ※ ※ ※

 今日の上海も、爽やかな気候だった。マンションの四階から見る夕暮れの景色は美しく、木々や家々をオレンジ色に染め上げた。
 窓の外に吊された洗濯物を取り込み、それを片付けてから夕食を作ろうと僕はキッチンへ向かった。
 するとそこには、台に食材を並べる父の姿があった。

「父さん、僕が夕食を作るよ」
「いいや。おれが用意する」
「どうしてさ?」
「お前がいなくても、身の回りのことはなんだってできる。もちろん料理もな」

 父は手際よく青梗菜や鶏肉を洗いながら下ごしらえを始める。
 その横で僕が米を炊こうとすると「余計なことをするな!」と怒られてしまった。

 父は頑固だ。「お前がいなくても一人で暮らしていける」と訴えているのだろう。
 買い物だって一人で行こうとするし、部屋の掃除や片付けも僕がやろうとすると止めてくる。
 まるで僕なんて邪魔者扱いだ。
 どうすれば同居を認めてくれるのか、ここ数日僕は考えた。
 たとえば父が体調不良になって、食事も自分で作れないようになれば……などと不謹慎なことを思ってしまう。どうせ父のことだから「風邪を引いたら出前でもなんでも利用して乗り切る」とか言いそうだけど。
 仕方なく、僕は夕食が出来上がるまでリビングで寛ぐことにした。食事が終わったら、せめて食器の片付けをしよう。
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