日本語が拙い外国人と恋仲になりました
「はぁ」

 深いため息が漏れた。
 僕はこれからどうしていくべきなんだ?
 自分でも答えが分からず、未だ職場に「辞めます」と連絡ができていない。本当に優柔不断で、情けない男だ。

 スマートフォンを机に置き、ふとテレビに視線を移した。
 夕方の特集番組が放映されていた。
 テーマは「外国人観光客が中国へ来た理由」というものだった。
 ニコニコ笑顔の女性インタビュアーが上海市内を歩き回って、色んな観光客に話を聞いている。
 イギリス人やアメリカ人、韓国人、マカオなどの人々に話を聞いていた。ほとんどが観光やビジネス目的で、中には親戚に会いに来た人もいた。
 テレビの向こうに映る人たちは楽しそうに笑っている。あの店の小籠包が美味しかった、とか、動物園でパンダを見た、上海デズニーリゾートも最高だった、などと話をしている。

 ──場所は移り、ふと外滩の映像が映った。上海中心や东方明珠を背景に、インタビュアーは遊歩道を歩いていく。

 そういえば日本にいた頃、ムラオカさんと約束したよな……。僕が上海市内を案内すると。外滩はとても素敵な場所だから、一緒に行こうとも。
 彼女はこんな約束、覚えていないかもしれない。
 でも僕は本気だった。いつか彼女を中国(ここ)に連れてきて、上海のいいところをたくさん見てもらいたかったんだ。
 それももう、叶わないのか……。
 考えれば考えるほど、切なくなる。唇を噛み、なんだか目の前がぼんやりしてきてしまう。
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