日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 何も考えずに部屋を飛び出した。
 とにかくチョウさんに会いたい。何を話すのか思いつかないけれど、やっぱりこのままお別れして日本には帰りたくない。
 彼からあのメッセージをもらっただけで、これまで自分の中で嘘をついていたもの全てを否定して捨ててしまいたくなった。
 エレベーターでロビーまで降り、エントランスを抜ける。ホテルの目の前は大通りがあった。
 配車アプリを立ち上げ、私は急いでタクシーを呼び出す。
 上海の朝も慌ただしい。道路にはたくさんの車やバイクが行き交っている。クラクションがあちこちで鳴り響き、みんながみんな忙しそうだ。
 しばらくもしないうちに、セダン型の黄色いタクシーがこちら側へ走ってくるのが見えた。ナンバーを確認すると、たしかに私が呼び出した車両だった。
 運転手に向かって私は大袈裟に合図を送る。タクシーは道路の右側に寄って目の前に止まった。
 急いで乗り込み、私ははっきりとした口調で目的地を伝えた。

「师傅,请快到外滩! 不要绕路」

 急いで外滩までお願いします。遠回りはしないでください。カタコトながらも私がそう伝えると、運転手さんは「好的(OK)」と頷いてタクシーを走らせた。
 私の焦りが伝わったのか、タクシーは変に迂回することもなく、比較的空いている道を選びながら進んでくれた。せこいタクシーじゃなくてよかった。
 外滩に近づくたび、私の心臓がどくどくとうるさく音を響かせる。
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