五つ子家庭教師は全員イケメン執事でした
第21話 五人の甘さが止まらない
旅館をチェックアウトし、車に乗り込むと、
あやめは窓から流れる景色を見つめていた。
(楽しかったな……花火も混浴ハプニングも……全部、夢みたいだった)
そんな想いに浸っていると
「お嬢様、シート倒しますか?
少し眠っても大丈夫ですよ」
長男・海斗が、いつもより柔らかい声で聞いてきた。
「え、うん……ありがとう」
「枕代わりに、こちらを」
そう言って、自分の上着をそっと差し出す。
その布越しに海斗の体温がして、胸がくすぐったくなる。
(海斗……なんか優しすぎる……)
隣では陽太が腕を組んでふんっとそっぽを向いている。
「ま、混浴の時よりはマシだな。
……つか、ちゃんと寝ろよ。のぼせたままだと倒れるから」
「も、もう大丈夫だよ陽太」
「だーかーら、心配してんだよ……
チッ……口に出すと恥ずかしいな……」
(陽太、デレ度増してない……?)
後部座席では律が静かに本を読みながら言う。
「のぼせるのは危険です。
帰宅したら、白湯飲ませますね。
それと……お嬢様、少し顔が赤いですよ」
「えっ……」
「温泉のせい、だけだといいのですが」
そんな言い方されたら、意識しちゃう。
優真はあやめのすぐ横で、袖をつまんでいる。
「ねぇあやめちゃん……帰っても、今日みたいに一緒にいよ?」
「え、一緒って……?」
「だって……昨日の夜、楽しかったもん。
髪拭いたり、抱きしめたり……もっとしたいなって」
「ゆ、優真……ここ車の中……!」
「小声だから聞こえないよ。
……ぼく、距離近いほうがいい」
甘い声が耳に触れるたび、心臓が苦しくなる。
蒼真は窓の外を見ながら小さく言った。
「……帰ったら、家の巡回する。
でも……あやめが眠るまで部屋の前にいる」
「えっ、なんで?」
「……なんとなく。
でも……昨日の花火の時から、目が離せない」
(蒼真まで……!
なんでみんなこんな甘いの……!?)
自宅に戻ると、まるで新婚家庭のような騒がしさが広がった。
陽太
「はいこれ、お前専用の栄養プレート! 温泉で疲れたろ?」
律
「こちらはあやめさん用のハーブティー。安眠効果がありますよ」
優真
「お布団ふかふかにしたよ〜!
あとね、アロマも焚いたの。好きな香りでしょ?」
蒼真
「靴……揃えておいた。
あ、傘も乾かした。……全部やっておくから」
海斗
「夕方まで休んでください。
その後、軽い散歩にお連れします。
疲労回復にちょうどよい距離です」
(みんな……優しすぎる……)
旅行を経たせいか、
五人の甘さは明らかにレベルアップしていた。
そして——
あやめがソファで伸びをしていた時、
突然、優真が後ろからふわっと手を伸ばした。
「髪、まだちょっと乾いてないよ」
「えっ、また?」
「まただよ。ぼく、あやめちゃんの髪触るの好き」
すると陽太が反応。
「おい! 近すぎだろ!!」
律が微笑む。
「陽太くん……嫉妬?」
「し、してねぇ!! してねぇからな!!」
蒼真はぽつり。
「……俺も触りたい」
海斗は静かにまとめる。
「争うのはよくありません。
お嬢様が困っています」
(いや海斗も少し目が熱い……)
もう誰も平常運転じゃない。
(……どうしよう)
旅行の前より、
五人の視線が、声が、態度が…明らかに甘い。
(みんなのこと、好きになっちゃう……)
あやめは窓から流れる景色を見つめていた。
(楽しかったな……花火も混浴ハプニングも……全部、夢みたいだった)
そんな想いに浸っていると
「お嬢様、シート倒しますか?
少し眠っても大丈夫ですよ」
長男・海斗が、いつもより柔らかい声で聞いてきた。
「え、うん……ありがとう」
「枕代わりに、こちらを」
そう言って、自分の上着をそっと差し出す。
その布越しに海斗の体温がして、胸がくすぐったくなる。
(海斗……なんか優しすぎる……)
隣では陽太が腕を組んでふんっとそっぽを向いている。
「ま、混浴の時よりはマシだな。
……つか、ちゃんと寝ろよ。のぼせたままだと倒れるから」
「も、もう大丈夫だよ陽太」
「だーかーら、心配してんだよ……
チッ……口に出すと恥ずかしいな……」
(陽太、デレ度増してない……?)
後部座席では律が静かに本を読みながら言う。
「のぼせるのは危険です。
帰宅したら、白湯飲ませますね。
それと……お嬢様、少し顔が赤いですよ」
「えっ……」
「温泉のせい、だけだといいのですが」
そんな言い方されたら、意識しちゃう。
優真はあやめのすぐ横で、袖をつまんでいる。
「ねぇあやめちゃん……帰っても、今日みたいに一緒にいよ?」
「え、一緒って……?」
「だって……昨日の夜、楽しかったもん。
髪拭いたり、抱きしめたり……もっとしたいなって」
「ゆ、優真……ここ車の中……!」
「小声だから聞こえないよ。
……ぼく、距離近いほうがいい」
甘い声が耳に触れるたび、心臓が苦しくなる。
蒼真は窓の外を見ながら小さく言った。
「……帰ったら、家の巡回する。
でも……あやめが眠るまで部屋の前にいる」
「えっ、なんで?」
「……なんとなく。
でも……昨日の花火の時から、目が離せない」
(蒼真まで……!
なんでみんなこんな甘いの……!?)
自宅に戻ると、まるで新婚家庭のような騒がしさが広がった。
陽太
「はいこれ、お前専用の栄養プレート! 温泉で疲れたろ?」
律
「こちらはあやめさん用のハーブティー。安眠効果がありますよ」
優真
「お布団ふかふかにしたよ〜!
あとね、アロマも焚いたの。好きな香りでしょ?」
蒼真
「靴……揃えておいた。
あ、傘も乾かした。……全部やっておくから」
海斗
「夕方まで休んでください。
その後、軽い散歩にお連れします。
疲労回復にちょうどよい距離です」
(みんな……優しすぎる……)
旅行を経たせいか、
五人の甘さは明らかにレベルアップしていた。
そして——
あやめがソファで伸びをしていた時、
突然、優真が後ろからふわっと手を伸ばした。
「髪、まだちょっと乾いてないよ」
「えっ、また?」
「まただよ。ぼく、あやめちゃんの髪触るの好き」
すると陽太が反応。
「おい! 近すぎだろ!!」
律が微笑む。
「陽太くん……嫉妬?」
「し、してねぇ!! してねぇからな!!」
蒼真はぽつり。
「……俺も触りたい」
海斗は静かにまとめる。
「争うのはよくありません。
お嬢様が困っています」
(いや海斗も少し目が熱い……)
もう誰も平常運転じゃない。
(……どうしよう)
旅行の前より、
五人の視線が、声が、態度が…明らかに甘い。
(みんなのこと、好きになっちゃう……)