五つ子家庭教師は全員イケメン執事でした

第25話 これからも、あなたたちと一緒に

侵入者の脅威が去り、
朝比奈家にようやく静かな日常が戻ってきた。

夕方のリビングでは、
五人が珍しく全員ソファに座ってくつろいでいた。

海斗はあやめの勉強スケジュールを見直し、
陽太はキッチンから甘い匂いを漂わせ、
蒼真はソファの影で猫を撫で、
律は静かに紅茶をいれて、
優真はあやめの髪に付いた糸くずを取ってくれている。

あやめはその光景を見て、
胸にぽっと灯りがともるような気持ちになった。

(ああ……守られるためだけじゃなく、
私はこの人たちと一緒にいるのが好きなんだ)

そんな時だった。

「……あやめ様。一つ、お聞きしてもよろしいですか」

海斗の静かな声がリビングに落ちた。

「これから……私たちはどうやって、あなたのそばにいればいいのでしょう。
任務としてではなく、一人の人間として」

陽太が照れくさそうに頭をかきながら言う。

「おれたちさ……もう仕事とか関係なく、
お前のこと、大事に思ってんだよ」

蒼真は視線をそらしながら、かすかに呟く。

「……離れたいなら、言って。
でも……離れたくないけど…」

律は優しい笑みを浮かべて、
あやめの手にそっと触れた。

「僕たちはあなたの選択を尊重します。
好きでそばにいたいだけですから」

最後に優真が、胸に手を当てて言う。

「ねぇ……あやめちゃん。
ぼくたちの中で誰か一人だけ選ぶとしたら誰が好き?」

あやめは驚き、そして笑った。

「……みんな、ずるいよ。
そんな……選べないよ」

五人が一緒に息を呑む。

「ねぇ、海斗。陽太。蒼真。律。優真」

あやめはゆっくりと五人を見つめた。

「私は誰か一人だけじゃなくて……
五人と一緒にいたい。
五人のいる家に帰ってきたい。
笑って、喧嘩して、甘えて……
そういう毎日がいいの」

リビングに静かな空気が流れた。

そして次の瞬間…

海斗
「……その言葉を、どれだけ待ったことか」

陽太
「はっ……マジでお前らしいな」

蒼真
「……よかった」


「では、これからも毎日甘やかしますね」

優真
「大好きだよ、あやめちゃん」

五つ子が同時に微笑む光景は、
あやめの胸をぎゅっと締めつけるほど眩しかった。

(この人たちとなら……ずっと笑っていられる)

その日の夜。

家にはいつもより大きな笑い声が響き、
あやめは初めて知った。

家族でも恋愛でもない、
でも確かに愛しい五人との関係があることを。

そしてその中心には、
いつも自分がいることも。

これからも一緒に生きていく。
五人全員と。
五人全員を好きなままで。

そんな温かくて不思議な日々が始まった。

おわり。
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