秘密な恋愛
​「佑陽くんには、私の気持ちなんて分からないよっ! ···佑陽くだって過去の話、あまりしてくれないじゃない··」


​“佑陽くんには分からない”


​その言葉を突きつけられた瞬間、
佑陽の胸の奥がズキリと深く痛んだ。


​芽依の言う通り、2人でいる時は
佑陽は芽依から聞かれたり
記憶を思い出しかけた時以外は、事故前の過去の話をあまりしなかった。


それは、佑陽自身も無意識に避けていたところもあった。

​けれど、

“芽依に記憶がないから”
という理由ではなくて。


​「···俺は、今の芽依との時間を一番大事にしたかったからだよ」


​いつもなら、そんな風に言われたら
嬉しいはずだった。

けれど、心の余裕を失っていた今の芽依には
その言葉さえまっすぐに受け取ることができなかった。


​「それじゃあ···過去の私は、いなかったみたい」

「はっ? 誰もそんなこと言ってねぇだろ?」
思わず少しだけ
佑陽も芽依に言葉を放ってしまう。
< 659 / 661 >

この作品をシェア

pagetop