秘密な恋愛
​(いないって。なんでそうなるんだよ···)

今までの自分の気持ちが
否定されてしまったように感じた佑陽も
余裕がなくなってしまった。


「だからっ··· 私の気持ちなんて、佑陽くんには分からないよ···っ!」





「···そうだな。わかんねぇよ」



​冷えた声でつぶやくと、
佑陽はその場から立ち上がった。

​「佑陽くん···?」

「仕事」
​短く、どこか突き放すような冷たい言葉。

いつもなら

“行ってくるな”

と優しく頭を撫でてくれるのに。ギリギリの時間まで一緒にいてくれるのに。
今日の佑陽は、やけに足早に去ろうとしていた。



​その瞬間。​
(やだっ··· 私、佑陽くんに···)

​「待ってっ」

​芽依は立ち去ろうとする佑陽を引き止めようと
咄嗟に手を伸ばした。
けれど、佑陽はその手を払うわけでもなく、
すっと避けるようにして、一度も振り返ることなく去ってしまった。


​「なんで···」

​あんなこと、言うつもりじゃなかったのに。
取り返しのつかない言葉を吐いてしまったことを、芽依は激しく後悔した。

あんなに切なそうで、
寂しそうな佑陽の表情を見たのは、初めてだった。



​その頃、一人で屋上を出た佑陽は
踊り場の壁にドンッと強く背中を打ち付けていた。


​「くそっ···余裕ねぇな、俺··」

佑陽自信も
芽依に取ってしまった態度を
後悔していた。
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