運命の恋は、スマホの外にありました
「そっか。そういう意味で言ったんじゃないけど、ごめんね」

「いえいえ。私が過剰反応してるだけなので」

 苦笑する龍介さんに、恥ずかしさがますます募る。

「じゃあ、下の名前は?」

 龍介さんはフォローで言ってくれたんだろうけど、私は自分の名前に対してもコンプレックスがあった。もしかしたら、名字よりも強いかも。

「……華恋(かれん)です。華やかの華に、恋愛の恋。名前負けしてますよね。こんな平凡な女が『華恋』だなんて」

「別にそうは思わないけど。可愛い名前だね」

 何てことないように言う龍介さん。
 ホント、私って拗らせアラサーよね……。
 龍介さんは「う〜ん」と伸びをしてから、うんざりした声でボヤいた。

「休日出勤ってさ、オフィスに人がいないからか謎の開放感があるけど、仕事が終わってみると、平日よりもドッと疲れが出るんだよなぁ。明日休んだら、またすぐに仕事だしさ」

「休日出勤だったんですね。頑張ってて、すごいです」

 大手企業だからホワイトってわけにはいかないんだね……主任さんなら、仕事量も多いんだろうな。
 龍介さんは私を見て、フッと微笑んだ。

「ありがと。三十歳にもなると、褒められることって滅多にないから嬉しいよ」

 ああ、分かるなぁ。
 私は二十七歳だけど、社会人五年目ともなれば、会社では仕事が出来て当然だと思われるし、平社員でも後輩を指導する立場になる。そして、特に褒められはしない。
 彼氏がいない平凡なオタクだからか、変わり映えしない日常を送っているからか、プライベートでも友達や家族に褒められることってないもんなぁ。
 
――あれ? 私、最後に褒められたのって、いつだっけ?

 昔過ぎて思い出せない。そう気付いた瞬間、私の目から涙が一筋、ツーッと頬を伝った。
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