月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「はあ……」


 他の夜伽者と接触したかった桐杏に対し、瑚乃は冷めていた。軟禁されていることへの恐怖や緊迫さも感じられない。


「夜伽者の制度が廃止され、私たちが自由の身になれるよう、寧丸さまが策を練ってくれるはずです」


「うーん、私はこのままでも別にいいかな。だって、私が夜伽者となるだけで家族が豊かに生活できるのなら、私がここにいるべきだと思うから」


「家族のために自分が犠牲になるべきと、瑚乃さんが思う必要はありません」


 桐杏はそう言っておきながら、瑚乃の気持ちはじゅうぶんに理解できていた。家族のだれかが死ぬくらいなら自分がそれまでの生活を捨てるという思いで、ここへ来ていたからだ。しかし、だからこそ、寧丸との出会いで、制度に思想を根本的に変えさせられていただけに過ぎないと気づく。
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