月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
続けて、第一夜伽の女性と会う。名前は琉忍。四角い輪郭で、目は小さく、目と目の間が離れている。泡沫女子とは性的にふしだらな女性の意味だと桐杏は受け取っているが、琉忍はそんな風に見えない地味な印象を受けた。
「あんたのような美人を抱かないなんて、寧丸とかいうあの皇子はどうかしているね。それとも、男が好きとか?」
琉忍の気の強さは顔だけでなく、口調にもあらわれている。
「そうではありません。寧丸さまは女性の人権を重んじているのです」
「あんた、夜伽者って言ってっけど、本当は后なんじゃないのか?」
「わ、私は后ではありません。だって、私はフルハ島出身ですから――」
桐杏は自分で言っておきながら、悲しい気持ちとなった。故郷を低い位置に引き下げたような言い方を自らしてしまったのと、生まれた場所によってだれとでも自由に結婚できないという、ふたつの理由から。