月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 一時間後。桐杏、寧丸、風来念の三人は出発する。


「皇子が夜伽者を連れ立っていると知られては大変です。今回はこちらの馬車にお乗りください」


 三箇は四輪の箱型馬車を用意していた。桐杏の存在は隠されることになる。


 風来念はひとり運転席に座った。桐杏と寧丸は人目につかないよう後部座席に座る。


「どこにいてもなにをしていても、くれぐれも皇子だとばれないよう、常に変装を忘れないでください。皇子が同年代の女といれば、大抵の人間は后だと思うことでしょう。民衆にその女がそうだと思われては厄介です。ましてや夜伽者と正直に説明する訳にもいかない」


 寧丸は最後に三箇から変装道具を渡された。


「わかっている。私はそんなへまはしない」


 寧丸は頬杖をついて、余裕そうな演技をしている。
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